古典とは?定義の解説と代表的作品の総まとめ

古典と聞いて、「日本書紀」や「源氏物語」などいくつかの有名な作品を浮かべられた人は多いかと思います。この記事では古典の定義や、有名な作品について紹介します。

「古典」の定義

日本書紀(平安時代の写本)
日本書紀(平安時代の写本)/wikipediaより引用

古典はその文字通り、「古い書物」を指します。厳密に言うと、単純に古い書物を指すほか、後世においても不変の価値を持つ優れた古代文学を指して「古典」と言います。ここで言う古代の基準は決まったものがありませんが、一般的には日本における明治時代より前に成立した文学を指すことが多いです。
外国、特にヨーロッパにおいてはアリストテレスやプラトンといったギリシャの識者たちが記した書物を「クラシック」と呼称したのが始まりとされています。

風土記

日本各地の歴史や特徴について記された書物であり、西暦713年に編纂されています。当時に発行された約60編のうち、「出雲国風土記」のみが落丁なく現存しています。他4篇が大筋が分かる程度に残存しており、残るものは全て散逸、もしくは断片的にしか残っていません。
風土記とみなされるには一定の条件があり、領内の地名一覧、特産品、土地の性質、領国名の由来、伝承について記されている必要がありました。当時から後世に残す目的で編纂されたわけではなく、政治の資料として作成された書簡を纏めて「風土記」と呼称しています。

万葉集

万葉集は国内に現存する最も古い和歌集と言われています。収められた和歌は約4500首に上り、凡そ20巻に纏められています。後世に残すべき「古典」として編纂されたものであり、現代においても貴重な資料とされます。7世紀後半からの和歌が収められており、体系化は8世紀後半とされています。
地方の防人や貴族以外の官吏による和歌も多く、題材においても風光明媚を詠んだものから色恋関連、死者への追悼など多岐にわたります。和歌の表記には「万葉仮名」という独自の書体が用いられていて、漢字の音読み・訓読みの全体または一部分を読み方に割り当てて表記しています。
表記方法は漢字のままであり、例えば「あ」なら「阿・吾・足・安」などの字を割り当てます。このような手法を用いた理由としては、平仮名及び片仮名が成立していない当時にいま表記しているような文章を作るためであったとされます。また、当時の方言を知る貴重な資料でもあります。

古事記

古事記は国内における最も古い歴史書とされます。成立は8世紀序盤です。天地神明から7世紀前半にわたる歴史が編纂の対象となっており、上・中・下巻の3部から構成されています。
古事記が編纂された理由としては、7世紀中盤における乙巳の変において蘇我蝦夷が自害した際、朝廷の書庫も焼け落ちて多くの資料が失われた為とされます。その後、識者の記憶力と残存していた朝廷の資料を併せて再編された書物が古事記とされます。

日本書紀

日本書紀は日本における最も古い公的な歴史書とされています。古事記との差異として、焼け残った史料や日本各地に残る記録を基に編纂されたことが挙げられます。こちらも天地神明から取り上げていますが、8世紀序盤まで編纂の対象となっていることも古事記との相違点となっています。
全30巻と系図1巻から成立していますが、系図の方は散逸して現存していません。表記は殆ど完全に漢文で行われており、当時の日本人においてもたいへん読みにくいとされたそうです。
日本書紀を親しみやすいものにするため、複数回にわたって識者による公的な読み合わせと講義の機会である「講筵」が行われていたとされます。

古今和歌集

古今和歌集は日本における最も古い勅撰和歌集とされています。「勅撰」とは天皇および上皇が編纂を命じた詩文・漢文などを指します。対義語として、天皇や上皇が手ずから編纂した書物を「私撰」と呼称します。
成立は10世紀序盤であり、編纂の対象となった和歌は7世紀後半以前から成立した10世紀序盤にわたります。構成は全20巻に及び、総収録数は1110首以上とされます。収められた和歌の4割近くが作者不明であり、ほぼ全て短歌から構成されている事が特徴です。
有名な著者としては六歌仙・在原業平、遍昭、小野小町の和歌が収められています。この古今和歌集は当時から教典としての側面を持ち、後世の歌人にとっても手本として尊重されています。また、「万葉集」の流れをくむ歌集ともされますが、目立った差異としては平仮名で表記された「仮名序」という表記方法が取られていることが挙げられます。

枕草子

枕草子は清少納言によって平安時代に記された随筆、今の言葉に直すとエッセイです。完成は11世紀ごろとされます。大きな特徴として、その読みやすさが挙げられます。
適度に平仮名が使用されていることに加え、歴史の公文書ではない個人の記録として柔らかい文体で書かれていることが読み解きやすい理由と思われます。文学としての枕草子は「日本三大随筆」の1つであり、後述する「源氏物語」と双をなす古典文学とされています。
その内容としては、日々の暮らしを切り取ったものから部屋から見た四季の風景、宮廷での暮らし、特定の対象についてその印象を謎かけのように列記したと思われるものまで多岐にわたります。この様式は後世の詩文、俳句様式、大衆文学の在り方に多大な影響を与えたといわれています。

源氏物語

源氏物語は紫式部によって11世紀序盤に記された長編小説です。概要としては貴族の暮らしを栄枯盛衰、権力抗争などについて「光源氏」という小説上の人物を通して描写した書物とされます。元々は後世に残す意図もなく、藤原宣孝と早々に死別した紫式部が己の気休めに書いていたとされます。
進むごとに身内で共有していたとされますが、作品の評判を聞いた藤原道長は紫式部を宮殿に招待します。ここから本格的に「源氏物語」が制作されたといわれています。全巻54帖という長編から構成されており、それぞれに表題が付いています。
藤原家の支援を受けて描かれた書物ですが、内容としては光源氏が藤原家をことごとく打ち負かしていく内容となっているなど、その成立から疑問視するような論説も一部存在しています。後世における源氏物語は貴族の間で好評を博したといいます。
ここで言う「後世」は他の作品群より多少早く、12世紀末期にはそのまま読む事が教養の証となっていたとされます。近代においても優れた様式を参考にしようと多くの文筆家によって現代語訳が行われています。

今昔物語集

今昔物語集は12世紀末期が起源とされる説話集です。作者は不明、正確な成立年も不明であり、起源も不明確な作品です。しかしその収録数は日本最大級とされ、全1000話以上の説話から構成されています。ただ、完本として残存してはいますが未完成の状態であり、一部の説話が題名のみであったり途中で終わっているなどの特徴があります。
多岐にわたって曖昧な部分がありますが、成立した年代において公式な記録が成されなかったなどが原因として挙げられます。「今昔物語集」という表題の由来としては、説話の書き出しが全て「今は昔」という表現が用いられていることが理由とされます。
この書き出しからは「竹取物語」を連想しやすく、実際に竹取物語を基とした説話も収録されています。もちろん、成立年代は今昔物語集の方が明確に後であり、説話の内容も大きく簡略化されたものとなっているなど、系統を汲んではいますが同一視できるものではありません。

小倉百人一首

小倉百人一首はとくに有名な百人一首ですが、その定義としては百人の歌を一首ずつ収めた歌集を「百人一首」と呼称します。成立は12世紀末期から13世紀序盤とされ、現代においては、かるたとして広く親しまれています。
かるたが登場する以前においては、優れた歌集として大衆における歌の教科書とされていました。収められている短歌は7世紀中盤の人物である天智天皇から成立前後の人物である順徳天皇まで広い年代から選りすぐられています。

外国の古典

イーリアスの表紙(1572年・Rihel社)
イーリアスの表紙(1572年・Rihel社)/wikipediaより引用
「古典」は国によって定義が異なり、中国においてはもともと儀礼の手法や作法を指すものであり、ヨーロッパにおいては先述した通り、特にギリシャの識者による著作を指しています。

『イリアス』『オデュッセイア』

古代ギリシャの著名な人物として「ホメロス」という吟遊詩人が居たとされます。有力な伝説においては『イリアス』と『オデュッセイア』という2篇の叙事詩を著したとされています。『イリアス』はギリシアの叙事詩においてもっとも有名かつ有力な作品であり、トロイア戦争の起こりから終結において敗れた英雄ヘクトルの葬儀までが書かれています。
『オデュッセイア』は『イリアス』の続編であり、トロイア戦争から凱旋するオデュッセウスが体験した10年にわたる漂浪が書かれています。この2つの作品における、更に言うとホメロスの作品における共通項として、冒頭は必ず「ムーサへの祈り」から始まります。

『論語』

『論語』は孔子とその高弟、優れた弟子の言動をほかの弟子たちによって記録したものです。全部で512の名言が20篇に集約されており、後世においては官吏における学力試験である科挙の資料に選ばれるなど教える立場の人に重宝されていたといいます。
近代においてはヨーロッパで著名な思想家に影響を与えており、啓蒙思想の基礎になったとされています。

まとめ

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古典はその国における伝承・文化、時代背景などを集約した書物であり、読み解くことで国への理解が深まります。大体は優れた思想が記されており、広い視野を持つことに非常に役立ちます。
自分の目と頭で読み解くことにより、歴史上の思想家の評価とはまた違った目で古典が見られるようになるかもしれません。

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