「孔子学院」について知ろう!「孔子」の学校は日本にもある?

アメリカやカナダ、タイやスェーデン、そして日本にもある「孔子学院」の存在をあなたは知っていましたか? この記事では孔子学院に冠される中国の思想家「孔子」とはどんな人物か、孔子の著書、そして孔子の名言について紹介するとともに、孔子学院についてもご紹介していきます。

孔子学院の画像
カナダにある孔子学院/Wikipediaより引用

 

孔子学院の「孔子」とはどんな人物か

孔子学院について知る前に、孔子学院が冠している「孔子」という人物について、簡単に学んでおきましょう。孔子は儒教の開祖とされ、中国哲学の礎を気づいたと言っても過言ではない人物です。

 

儒教を興して中国哲学の祖となった人

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儒教という思想をご存知でしょうか。儒教とは孔子が興した哲学思想で、紀元前の時代から主に東アジアの各国で2000年以上にわたって強い影響力を持つ思想です。孔子の名から「孔教」「孔子教」などと呼ばれることもあります。
日本においては仏教が伝わるよりも早い時代に伝来し、学問として受容されました。

 

孔子の主な著書「論語」と「孝経」

『孝経』諌争章の画像
『孝経』諌争章/Wikipediaより引用

孔子の思想をまとめた書物として「論語」、「孝経」があります。
論語は孔子とその弟子たちの語録で、孝経は孔子の弟子である曾子が、孔子の言動をまとめたものです。これらの書物についてもう少し詳しくご紹介していきます。

 

孔子の著書1:「論語」

「論語」は孔子とその弟子たちの言葉をまとめた語録で、儒教における「四書」のうちのひとつに数えられる重要な書物になっています。「五経」と呼ばれる儒教の基本経典の内には含まれていないのですが、後ほど説明する「孝経」とならんで、古来より必読の書物とされてきました。
「論語」にはいくつかの流派がありましたが、後漢時代の末期に「魯論語」をもとにして、現在よく知られている形にまとめられました。

 

孔子の著書2:「孝経」

孔子が弟子である「曾子」という人物に「孝」について述べる形をとっています。短い作品で、これも「五経」には含まれていませんが、やはり古くより重要視されている作品です。
親が子を愛する「孝」は徳の根本であり、それは「至徳」であるとし。上は天子の政治、下は庶民の生活までの行動原理であると説いています。
作者についてはいくつかの説があります。曾子であるという説の他、孔子の孫である「子思」が作者であるという説、戦国時代の儒学者である「孟子」の弟子が作者であるという説などがあります。
日本の儒学において古くから重要視された経典であるとされています。丹沢城から奈良時代に書かれた「孝経」の漆紙文書が発見されました。

 

 

孔子の遺したありがたい名言をご紹介

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孔子の語録として「論語」がありますが、次はその「論語」を中心に、孔子が残した名言をご紹介したいと思います。2500年以上を経た今でも、ためになる言葉ばかりです。

 

「過ちて改めざる、これを過ちという」

「論語」からの言葉です。過ちを犯して、それを改めない事こそ過ちである、という意味です。儒教の最重要の考えである「五常の徳」(五徳)のひとつである「義」の考えを象徴するような言葉です。

 

「自分自身に対する誠実さと、人に対する優しさ。すべてはこの二つに包括される」

孔子の父は70歳を超える戦士であり、母は16歳の身分の低い巫女でした。幼くして父を亡くした孔子は、多くの仕事をこなして家計を支えながら学問を修めました。こうした生い立ちだからこそ、このような言葉を残せたのでしょう。また、この教えは「五常の徳」のひとつである「仁」の教えを象徴するような言葉であると感じました。
「仁」とは「他人に対する親愛の情、優しさ」を意味します。

 

「学びて思わざればすなわち罔(くら)し、思いて学ばざればすなわち殆(あやう)し」

 

「論語」より。学んでも考えなければ、知識を生かしきれず、考えても学ばなければ、独断に陥るので危険である、という意味です。これもまた、逆境に負けずに勤勉に学問を修めた孔子ならではの言葉であると思います。

 

「子曰く、学びて時に之(これ)を習う。亦(また)説(よろこ)ばしからずや。朋(とも)有り、遠方より来たる、亦楽しからずや。人知らずして慍(うら)みず、亦君子ならずや」

「論語」より。子とは孔子のことなので、子曰く、より先の文章が孔子の言葉ということになります。現代文に直すと、「孔子は言った、物事を並んで、時にこれを復習する。なんと悦ばしいことだろう。友達が遠方から会いに来てくれる。なんと嬉しいことだろう。他人が自分を分かってくれなくとも、恨みに思うな。それでこそ君子というものだ」となります。
「論語」を代表する言葉として授業に出てくるほど、非常に有名な言葉です。学ぶことの大切さ、そして、人に対する親愛の情や優しさを持つことの大切さ(=「仁」)を説いています。

 

「子曰く、巧言令色、鮮(すくな)し仁」

「論語」より。現代語訳をすると、「孔子は言った。口先が上手で、顔色をころころ変えるような人間が、仁者であることは少ない」となります。「仁」の教えを象徴する名言のひとつです。

 

「子曰く、人の己を知らざるを患(うれ)えず、人を知らざるを患うるなり」

「論語」より。現代語に訳すと、「孔子は言った、人が自分を分かってくれないより、自分が人を分からないことの方を心配しなさい」となります。これも「仁」の教えを象徴するような言葉です。

 

「子曰く、異端を攻(おさ)むるは斯(こ)れ害あるのみ」

「論語」より。「孔子は言った、自分とは異なる考えの人を攻撃しても、害があるだけである」という意味です。日本においては「出る杭は打たれる」という考えが一般的ですが、日本の美徳と儒教における徳とは大きな違いがあるのだと改めて感じさせられる教えです。

 

「不義にして富み且(か)つ貴(たっと)きは、我に於(おい)て浮雲(ふうん)の如し」

 

「論語」より。「自分のなすべきでない事を行って財産や地位を得たとしても、それは浮雲のようにはかないものである」という意味です。
儒教における「義」の考えを人に教える時に、引用したいと思うような言葉です。

 

「子曰く、君子は周して比せず、小人は比して周せず」

「論語」からの言葉です。現代語に訳すと「孔子は言った、君子は誰とも分け隔てなく付き合うが、つまらない者は限られた狭い付き合いしかしないのだ」となります。
日本においては、人と「狭く深く」付き合うこともいいことのようにも捉えられますが、孔子の教えはこの通りです。徳がある立派な人物(=君子)のもとには、人が集まってくるのだ、ということを言っているようでもありますね。

 

「子曰く、君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る」

これも「論語」から。現代語訳すると「孔子は言った、君子は何をするべきかを考え、つまらない者は何をすれば得かを考える」となります。
忙しい現代社会。忙しさの中にいると「何をすれば楽であろうか」とついつい考えてしまいますが、それを戒めてくれるような言葉であると感じます。立派な人物はつねに、「いま何をすべきか」を考えているものなのです。

 

 

孔子とは無関係!? 孔子の名を冠する「孔子学院」とは?

それでは本題に入りましょう。孔子の名を冠する「孔子学院」とは、いったいどのようなものなのでしょうか。

 

「孔子学院」は中国語教育の専門機関です

ライオンの画像
フランスの孔子学院 / Wikipedia

「孔子学院」は中華人民共和国が、海外の教育機関と連携して中国語や中国文化の教育と宣伝、および中国との友好関係を深める事を目的として作られた公的教育機関のことをいいます。
孔子の名前を冠しているのですが、儒教を学ぶところではないようです。本部は北京市に存在します。
中華人民共和国が成立して以降、儒教は「革命に対する反動」として弾圧され、文化大革命時に林彪(りんぴょう)という人がクーデターを起こそうとすると、弾圧はさらに厳しいものとなり、多くの儒学者が国外に逃れました。これは儒教の教えが中国共産党のマルクス主義と相容れないものであると考えられていたからだといわれています。
しかし、21世紀にはいって儒教の再評価がなされるようになり、中国語や中国文化の教育および宣伝、中国と諸外国の友好関係を深める事を目的とした公的機関である「孔子学院」が世界各地に出来るようになりました。

 

日本にも孔子学院がある!?

「孔子学院」が作られた目的のひとつに、諸外国の国家と中国本国との友好関係を深める事というものがあります。そのためもちろん日本にも孔子学院は存在します。2005年に立命館大学と北京大学が提携して「立命館孔子学院」を設立しました。これが日本における最初の孔子学院です。その後続々と日本においても孔子学院が設立されました。最近では2016年に、武蔵野大学孔子学院が開設されました。日本の武蔵野大学と、中国の天津外国語大学が提携して開設されました。
孔子学院は「大学別科」の扱いではありますが、所定の単位を修得すれば、日本や中国の大学に編入することも、特例として認められています。

 

アメリカやカナダは批判。FBIも監視を強める

しかし、アメリカにおいては孔子学院を警戒する動きが強まっています。今年に入って、公聴会においてアメリカのFBI長官のクリストファー・レイ氏は、アメリカの大学を中心として、中国共産党の思想を宣伝してスパイ活動も行っているのだと非難し、スパイ容疑によるFBIの捜査が始まることになりました。
現在、北米を中心に孔子学院の閉鎖が相次いでいるそうです。カナダにおいても、マクマスター大学の孔子学院が閉鎖されました。カナダの最大学区トロント州の地方委員会は「学問の自由を規制し、学生を監視している」として、同院の受け入れを拒否する声明を出しました(2014年)。

 

 

まとめ ~いま「孔子学院」とどう向き合うか

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孔子は素晴らしい思想家だと思いますが、「孔子学院」はそんな孔子の名前を利用した宣伝機関のようになっているのが残念ですね。日本も古くから儒教を学んでいた国という側面がありますが、ある程度は警戒をして監視を強める必要性が、現在問われていることでしょう。

 

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