広がる選挙権の制度を知ろう!~小選挙区制で私たちの声は国に届くか?~

公職選挙法の一部改正・制度改正に伴い、2016年から選挙権年齢が18歳に引き下げられました。施行後初となる2016年の参院選に続き、2017年には衆院選が行われています。この時は突然の解散ということもあり、戸惑った投票者も多数いたのではないでしょうか?今回は、衆議院選挙の小選挙区制をご紹介します。

 

日本の衆議院選挙とは

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「解散総選挙」という言葉も使われる衆議院選挙とは、いったいどのような選挙なのでしょうか。

 

どのように行われるか

国会議員のうち、衆議院議員を選ぶ選挙です。衆議院の解散、もしくは衆議院の任期(4年)が終わった時のどちらかで実施されます。半分のみが入れ替わる参議院選挙とは異なり、衆議院選挙では全員が入れ替わります。
衆議院選挙に参加できる規定は、選挙権を有するのが「日本国民で満18歳以上のもの」、被選挙権を有するのが「日本国民で満25歳以上のもの」です。

 

衆議院選挙の仕組み

衆議院選挙では、「小選挙区選挙」・「比例代表選挙」の2つの選挙を同時に行います。それぞれの選挙により、衆議院議員、併せて475名を選出します。
投票対象が異なるこれらの選挙は、管理・集計する管理者も異なります。小選挙区選挙では各都道府県の「選挙管理委員会」が、比例代表選挙では総務省の「中央選挙管理会」がそれぞれ管轄しています。

 

小選挙区制の仕組み

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今回は、そのうちの1つ「小選挙区制」について説明していきます。

 

選挙区の設定方法は?

小選挙区制では、全国を295個の選挙区に分けて選挙が行われます。まず、全国の人口数に照らし合わせ、各都道府県の当選者数を決めます。そこから人口数に応じて、各都道府県に割り振られた当選者人数分の選挙区に分けます。

 

投票する対象は?

「候補者名」を書いて投票します。1人1票の投票権を持っているので、選挙会場では2枚の投票用紙を受け取りますね。1枚は候補者名を書く小選挙区選挙用、もう1枚は政党名を書く比例代表選挙用です。

 

議員定数は?

各選挙区で立候補した候補者の中で、最も多く票を獲得した人が当選します。各選挙区ごとに1人です。従って、衆議院選挙における小選挙区制での全当選者は295人となります。

 

小選挙区制のメリット・デメリット

小選挙区制には、以下の長所・短所が挙げられます。

・メリット

1.選挙範囲が狭いので、選挙費用を抑えられる。

2.選挙範囲が狭いので、きめ細かな活動ができる。

3.大政党が勝ちやすい仕組みなので、政権が安定する。

4.候補者を直接選べるので、民意を反映させやすい。

・デメリット

1.落選者への票(死票)が多く、その分の民意が切り捨てられるので、少数派意見が反映されにくくなる。

2.地方自治体単位の選挙区のため、一票の格差が大きくなる。

 

小選挙区制と比例代表制

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次に、小選挙区選挙と並立して行われる、「比例代表制」とはどのような選挙方法なのでしょうか。比較しながら確認してみましょう。

 

小選挙区制と比例代表制の違い

比例代表制では各政党の得票率に応じて議席数が決まります。まず、全国を11ブロックに分け、各ブロックごとに各政党の得票数を集計します。そして、その得票数に応じた議席を各政党に割り当てています。なお、党内での当選者は政党が予め作成した名簿の順位で決まります。
票を集計するのは各「政党の得票数」なので、選挙では「政党名」で投票します。この仕組みにおいて衆議院議員180人が選出されます。あくまでも「政党」ありきのため、政党に所属していない無所属の人は、比例代表選挙に立候補ができません。小選挙区選挙にのみ立候補が可能です。
また、当選者は政党が順位を付けて決めた人物なので、候補者については民意が反映されにくくなります。さらに当選後は、比例代表選挙で当選した議員は党の移籍を禁じられています。政党名による信用を問う選挙なので当然の事項です。
とはいえ、選挙時に存在していなかった「新党結成」・「新党結成に加わる」ことは禁止されていません。

 

小選挙区比例代表並立制とは?

日本の衆議院選挙では、小選挙区比例代表並立制を用いています。それぞれの利点を活かし短所を補うための折衷案で生まれた制度です。

 

小選挙区制が抱える課題

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ここまで、小選挙区制を主にご説明しました。それでは、現在小選挙区制が抱える問題点を、制度が生まれた背景から見ていきましょう。

 

小選挙区制が生まれた背景

1989年のリクルート事件から財政官の癒着がクローズアップされ、政治改革が求められます。政治が腐敗したのは中選挙区制が原因であるとし、政権交代が可能な二大政党が必要という動きの末に小選挙区制の導入に至りました。
この制度は1994年に取り入れられます。それまでの中選挙区制では、小選挙区制における選挙区と比べて広い選挙区で行われ、その1つの選挙区から複数の当選者が出ていました。そこには、立候補者は広い選挙区で選挙活動を行う必要があり、費用が嵩む問題点がありました。
小選挙区選挙が始まると、当初は二大政党で動いていましたが、昨今では自民党一党体制、一党優位体制にシフトしていると見て取れます。

 

一票の格差

まず、小選挙区制では、基本的に各政党が出す候補者は1人のみです。得票数で1位の候補者しか当選できないので、複数の候補者を出すと選挙費用が嵩みますし、何よりも票が分散して負ける可能性が高まることを避ける必要があります。
そして、投票する側にしてみれば、得票数1位の候補者の票しか活かされないので、民意を表明する「一票が持つ重み」は非常に大きくなります。小選挙区選挙では一票の格差、すなわち人口の格差が大きく影響します。
議員1人に対し有権者49万人の選挙区と議員1人に対し有権者23万人の選挙区を比較すると格差は約2.1倍です。この格差のために、例えばある選挙区では10万票を獲得したものの落選した候補者たいるのに、別のある選挙区ではその半分の5万票でも当選する候補者が出てくるのです。

 

選挙から見る民主主義の捉え方

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複雑な日本の選挙制度。単に投票率の増減や、「一票の格差」問題、「若者の政治離れ」だけでは、片付けられない課題を抱えています。民意を政治に反映させるにしても、候補者や政党をよく知らないままに投票して良いのでしょうか。

被選挙権の年齢が25歳から引き下げられなかったのも、「多少なりの社会経験を積む」必要性があるからと考えられます。そして、今回ご説明してきた小選挙区制では1つの選挙区につき、1人が選ばれます。

最も票を多く獲得した1位だけが当選するので、多数決という「多数意見が重視」されます。一方、比較してご紹介した比例代表制では票の獲得数に応じて平等に当選できるので、「多様な少数意見」がくみ上げられます。
つまり、国民の真意を問う・国民の意見を反映させる選挙であるのに、そもそも選挙の段階で民意の問い方に矛盾が発生していることがお分かりいただけると思います。政党の数のバランスをとったり、「一票の格差」を是正したりするだけでは、この矛盾は解消されません。
直近の選挙権年齢引き下げも、高齢者重視になりがちの政策に変化をもたらし若者が政治に関心を持ちやすくなる、と新たな民意をくみ取る狙いがありましたね。
制度も制度改革も、一過性の取り組みでは社会に根付きません。どのような民意の反映の仕方が現在の日本に則しているのか、民主主義のあり方を根本から問われています。

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